開業届の基礎知識: 副業を始める人のためのガイド

副業をしていても開業届を出す必要があるの

開業届の基礎知識を教えて!

副業は現代の働き方の一つとして人気を集めています。国による「働き方改革」により企業側も副業を認める傾向が増えてきたからです。

独立行政法人の労働政策研究・研修機構の調査によると令和4年の時点で副業をしている人は6%と調査結果を発表しています。副業をする理由も調査されており、「収入を増やしたいから」が最も多くの割合(54.5%)を占めていました。

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構│副業者の就労に関する調査より

本業とは別に副業の収入が得られれば、生活にも余裕が生まれるようになります。しかし、副業の収入が一定以上になれば確定申告をする必要があり、納める税金が発生しています。

開業届を届けを出せば税金を納める額も低減されるなどメリットはありますが、開業届けの目的や出し方がいまいちわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では副業を始めた人に向けて開業届の基礎知識や正しい出し方について詳しく解説します。

この記事は以下の内容が書かれています

  • 開業届を出す目的
  • 開業届の出し方
  • 開業届を簡単に出すことができるサービスの紹介

■この記事でわかること

  • 開業届に必要な書類や提出期限などがわかる
  • 開業届に記入する項目が理解できる
  • 提出後の手続きや注意点を知る事ができる

それでは早速スタートします。

目次

開業届とは何?

まずは開業届について解説をします。

開業届は、自身の事業や副業をしたことを税務署に申告する手続きのことです。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。

会社に勤めていれば毎月の給料から天引きされていますが、個人事業主などの会社に属さない場合は自身で所得税を計算して確定申告を行います。

個人事業主も所得税などを納めなければいけないため、開業届を提出することで副業で発生した収入にたいしての所得税を納めることを税務署に知らせます。

副業による所得でも税金を納めないといけないの?

と思う方もいるかとおもいますが、副業による所得が20万円を超えた場合は本業の所得と合わせて確定申告をしなければなりません。

開業届を出しておくと税金面でメリットが大きくなるため、提出することを考えてもいいでしょう。以下の記事では副業をしている人に向けて開業届を出すメリットやデメリットについて詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてください。

開業届を出す目的

開業届を出す目的は、主に以下の3つです。

  • 法的な公告
  • 税金の申告と納税
  • 社会保険の適用

それぞれ順番に説明をしていきます。

法的な公告がされる

開業届の提出により、自分の事業や副業が法的に認められ、世の中に公表されます

これにより、自分の活動が正当な事業として扱われ、他の関係者やクライアントに信頼性を与えることができます。

さらに、法的に認められていれば、店舗やオフィスを借りるときや金融機関への融資を申し込む時などに開業届の控えの提出を求められたり、子供を保育園に入園させるときの就労の証明として開業届が使えます。

このように、さまざまな手続きに開業届の控えが活用できます。

税金の申告と納税を正しく行える

開業届を提出することで、収入に対する所得税や消費税などの税金の申告と納税が適切に行われます

事業が法的に認識され納税義務が発生します。税務署は、開業届に基づいて事業主に対して税金の種類や税率が定められます。これにより、正確で適切な納税ができるため税務上のトラブルを未然に防ぐことができます。

誤った情報や申告漏れがないように適切な手続きを踏むことで、税務申告や納税に関する問題を回避できるので、安心して事業を運用していくことができるでしょう。

社会保険の適用が必要になる

開業届の提出により、社会保険の適用範囲が明確になります。社会保険とは以下の3つのことです。

  • 健康保健
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

基本的には会社員が副業で個人事業主として働いている場合は、新たな社会保険に関する手続きを行うことはないです。

理由として、会社員で加入している社会保険を利用できるためです。また、本業の収入と個人事業主の事業収入には関係はなく社会保険料の算出対象額も変わらないため負担が増えません。

なお副業ではなく単に個人事業主として働く場合は、国民健康保険及び国民年金に加入する必要があるので、自身の働き方をしっかりと把握しておきましょう。

副業で開業届を提出する時期と手続き

次に開業届を提出する時期と手続きについて解説をしていきます。

開業届はいつまでに提出するの?

開業届」は事業を始める際に提出が必要な重要な書類です。開業届を提出する時期について解説いたします。

開業届は事業を開始する前に提出する必要があります。

具体的な提出時期は自治体によって異なる場合がありますので、所在地の市区町村役場や都道府県庁のホームページや窓口で確認することをおすすめします

国税庁の個人事業の開業届出・廃業届出等手続事業を開始する前の1ヶ月以内に提出する必要があるケースが多いです。ただし、一部の事業には例外的な提出時期が設定されている場合もありますので、注意が必要です。

開業届の提出時期を適切に把握し、事前に手続きを行うことでスムーズに事業を始められます。

提出期限を遅らせると、開業後に遅延損害金などの支払いが発生する場合があるため、早めの手続きを心掛けましょう。

開業届けに必要な書類は?

開業届を提出する際に必要な書類についてご説明いたします。開業届には以下の書類が必要となります。

開業届出書

開業届を提出するための基本となる書類です。この書類には事業者の氏名や事業の種別、所在地などの情報を記入します。

事業計画書

一部の地域では事業計画書の提出が求められる場合があります。事業計画書は事業の内容や目標、販売計画などを詳細にまとめたものです。

身分証明書

事業者の身分を証明するための書類が必要です。一般的には運転免許書やパスポート、マイナンバーカードなどが使用されます。

住民票

開業届を提出する市区町村の住民票が必要です。住民票は住民登録のある市役所で習得できます。

所得税・法人税の確定申告書

一部の事業形態や収益規模によっては、開業届の提出と同時に所得税や法人税の確定申告書の提出が必要な場合があります。

これらの書類は一般的なものであり、地域や事業の種別によって異なる場合もあります。

正確な書類の要件については、所在地の市区町村役場や都道府県庁のホームページや窓口で確認することをおすすめします。

開業届の手続きの仕方

開業届の手続き方法についてご説明いたします。開業届を提出するためには以下の手順を踏みます。

STEP
必要な書類を準備する

先ほど説明した必要書類を用意します。開業届出書事業計画書、身分証明書、住民票などが含まれます。必要な書類はリストアップして不足がないように準備をしましょう。

STEP
手続き先を確認する

開業届の提出先となる市区町村役場や都道府県庁の窓口やホームページを確認します。提出場所や営業時間、手続きの受け付け方法について情報を入手しましょう。

STEP
書類に必要事項を記入する

開業届出書やその他の必要書類に必要事項を記入します。正確な情報を入力することが重要です。事業の名称や種別、所在地、事業者の氏名などの情報を適切に記入しましょう。

STEP
書類を提出する

書類をまとめて提出します。窓口への持参や郵送、オンラインでの提出など、手続き先の指示に従って提出方法を選びます。提出後、受付印や受領証の控えを確認して保管しましょう。

開業届の手続きは慎重に行う必要があります。

書類の不備や誤りがあると手続きが遅れたり、正式な開業手続きが完了しない場合があります。確認を怠らず、手続きを正確に行うことが重要です。

オンラインで手続きを行う方法

開業届の手続きをオンラインで行う方法についてご説明いたします。

近年、多くの自治体がオンライン手続きの導入を進めており、より便利に開業届の提出ができるようになっています。

STEP
ホームページの確認

手続きを行う自治体のホームページを訪れます。オンライン手続きの案内や必要な書類のダウンロード、手続きの方法に関する情報が掲載されていることがあります。

STEP
登録・ログイン

手続きを行う自治体のホームページを訪れます。オンライン手続きの案内や必要な書類のダウンロード、手続きの方法に関する情報が掲載されていることがあります。

STEP
書類の入力

オンライン手続きシステムを利用して、必要な情報を入力します。開業届出書やその他の必要書類の項目を適切に入力していきます。システムは入力内容のチェックや補完を行う場合もあります。

STEP
書類のアップロード

必要書類をスキャンまたは撮影して電子データとして準備します。オンライン手続きシステムを通じて、書類のアップロードを行います。ファイル形式や容量の制限に注意しながらアップロードを完了させましょう。

STEP
提出と確認

入力とアップロードが完了したら、提出ボタンをクリックして開業届を提出します。システムが受付を確認し、受領証や受付番号を表示する場合があります。必要な情報を確認し、受領証の控えを保存しておきましょう。

オンライン手続きを利用することで、時間や手間を節約できます。

ただし、自治体によってはオンライン手続きが提供されていない場合や一部の手続きが対象外の場合がありますので、事前に確認することが重要です。

オンラインで開業届を出すのにおすすめなサービス

副業を事業としてやっていくならば開業届を出す必要がありますが、本業をやりながら開業届の準備をしていくのは時間も確保できず、大変ですよね。

そこで、おすすめしたいのが無料で開業届を作成して提出する事ができる以下のサービスを利用することです。

  • マネーフォワードクラウド開業届
  • やよいのかんたん開業

この2つのサービスについて詳しく紹介をしていきます!

マネーフォワードクラウド開業届

引用:マネーフォワードクラウド開業届

マネーフォワードクラウド開業届は株式会社マネーフォワードが運営していて、所得税の青色申告承認申請書など、個人事業主の開業手続きに必要な書類を、web上で無料で作成できるサービスです。

その他にも、家計簿アプリで有名なマネーフォワードMEやマネーフォワード勤怠などの様々なサービスも提供しています。

利用したい方は、フォームに沿って必要事項の入力を進めるだけで、専門知識がなくても自身が提出すべき書類の作成や提出場所の確認ができるため、簡単に手続きを進めることができます。

■利用方法

  1. 質問に答える
  2. フォームに沿って必要な情報を入力する
  3. 作成した資料を税務署に提出をする

上記のように3つのステップで開業届を提出する事ができるのでとてもたすかりますよね。

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弥生のかんたん開業届

引用:弥生のかんたん開業届

弥生の簡単開業届は、会計ソフト「弥生」が提供している会社設立支援サービスです。

以下のステップで登録から書類の作成まで無料で利用することができて、登記費用だけで会社の設立が可能です。

■利用方法

  1. 弥生IDの新規登録
  2. 開業に必要な基本事項の入力
  3. 作成書類のダウンロード
  4. 税務署へ必要書類を提出

ステップに沿って必要な情報を入力していくだけなので簡単な操作で初心者でも理解しやすく、難しい専門知識を持たない人もスムーズに起業できます。

開業後の青色申告もやよいの青色申告オンライン があるので手続きも簡単に行うことができます。簿記や会計の知識がなくても、最大65万円の青色申告特別控除の要件を満たした青色申告の必要書類がかんたんに作成できます。

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開業届の記入方法

引用先:国税庁 │ 個人事業の開業・廃業等届書

次に開業届の記入方法について詳しく解説をしていきます。

開業届は国税庁のホームページから「個人事業の開業・廃業等届書」の資料をダウンロードするか、もしくは最寄りの税務署から入手することができます。

最寄りの税務署がどこにあるのかを調べるには「税務署の所在地などを知りたい方」から郵便番号もしくは都道府県・地図などから探すことができますので、ご活用ください。

個人情報の記入を行う

開業届には、申請者の個人情報が必要です。以下の情報を正確に記入しましょう。

  • 氏名: 申請者の正式な氏名をフルネームで記入します。
  • 生年月日: 申請者の生年月日を西暦で記入します。
  • 住所: 申請者の住所を詳細に記入します。郵便番号、都道府県、市区町村、番地、建物名などを含めましょう。
  • 連絡先: 申請者の電話番号やメールアドレスなど、連絡を取るための正確な連絡先情報を記入します。

副業の内容と所得の推測をする

開業届では、副業の内容や予想される所得について記入する必要があります。以下の情報を提供しましょう。

提供するサービス」や「販売する商品」など、副業の具体的な内容を明確に記入します。

そして、副業によって得られる予想所得を記入します。年間の見込み売上高や利益など、できるだけ具体的な数値を記入しましょう。

事業形態を明確にする

開業届では、事業の形態を明確にする必要があります。以下の情報を記入しましょう。

  • 個人事業主:副業を個人で行う場合は「個人事業主」として記入をします
  • 法人: 法人格を持つ組織として副業を行う場合は、法人名や法人番号を記入します。

営業場所の詳細を記入する

開業届には、営業場所の詳細も記入する必要があります。以下の情報を記入しましょう。

  • 営業場所の住所: 自宅を事業の場所とする場合は、自宅の住所を記入します。郵便番号、都道府県、市区町村、番地、建物名など、できるだけ具体的に記入をしましょう。
  • 法人: 法人格を持つ組織として副業を行う場合は、法人名や法人番号を記入します。

開業届を提出した後の手続きと注意点

ここからは開業届を提出した後の手続きと注意点について、以下4つについて詳しく解説をしていきます。

  • 提出後の確認手続きをする
  • 受領書を保管しておく
  • 税金や社会保証関連の対応を行う
  • 更新や変更手続きがないか確認をする

開業届を出して終わり、ということではないため提出後も漏れがないか確認をするようにしましょう。

提出後の確認手続きをする

開業届を提出した後は、受理されたかどうかを確認しましょう

管轄する役所からメールや郵送で受理通知や受領証などを受け取る場合もありますので、それを確認します。

提出した開業届の内容を再度確認し、誤りや漏れがなかったかを確認します。もし修正が必要な場合は、速やかに訂正手続きを行いましょう。

受領書を保管しておく

開業届の提出後、受領書を受け取ることがあります。

この受領書は、開業手続きの証拠となる重要な書類です。開業届の控えは、銀行で屋号名義の口座を作る時や、融資を申し込む時に必要になることがあるので、受領書は破棄せずに大切に保管をしておきます。

保管しておくことで、後々のトラブルや証明が必要な場合に役立ちますし、将来の参照や必要な場面で使用できるようにしましょう。

また、受領書は電子データもしくは紙で提供される場合があります。データのバックアップを取るなどして紛失や破損しないように大切な場所に保存しておきましょう。

税金や社会保証関連の対応を行う

開業に伴って生じる税金について、正確に申告し納税する必要があります確定申告や青色申告など、開業に応じた適切な手続きを行いましょう。

また、消費税や源泉徴収など、適用される税金についても理解し対応していきます。

それから、開業後は、必要に応じて社会保障への加入手続きを行います

国民年金や健康保険など、自身や従業員の社会保障に関する手続きを確認し、適切に対応していくとよいでしょう。

更新や変更手続きがないか確認をする

開業届には有効期限が設定されている場合があります

開業届の有効期限が近づいた場合や、事業内容や所在地に変更があった場合は、更新手続きを行う必要があります。

定期的に開業届の状況を確認し、必要な更新や変更手続きがないかを確認しましょう。

適切な手続きを行い、ビジネスの安定的な運営をサポートしましょう。

開業届を出す前に知っておくべきこと

次に開業届を出す前に知っておきたい情報を紹介します。

  • 副業と本業の税金や法的な関係性の注意点
  • 専門家の助言やアドバイスの重要性

副業と本業の税金や法的な関係性の注意点

副業と本業では税金と法的な取り扱いが異なる場合があるので、どんな違いがあるのか理解を深めておきましょう!

職種によって税率が違う

副業と本業の収入には異なる税金のルールが適用されることがあります。

特に注意しておきたいのが職業によって税率が異なることです。例として東京都が定めている業種ごとの個人事業税の税率区分について一覧をご紹介します。

引用先:東京都主税局 │ 個人事業税より

また、個人事業税は年間290万円の事業主控除があるので、年間所得が290万円以下の場合は納付する必要はありません。仮に納税してしまった場合でも、個人事業税は経費として計上することができるので、このことは覚えておきましょう。

本業の就業規則を確認しておく

会社に勤めながら副業として開業するのであれば、会社の就業規則を事前に確認しましょう。副業を認められている企業は増えたものの、副業を禁止している企業もあるからです。

副業を始めた時に事前に会社に申請していれば問題はありませんが、隠して副業をおこなっていた場合、住民税の通知書などでばれてしまう可能性が高く、トラブルになるリスクが高いためです。

そのため、必ず就業規則を見直して、副業が認められているかを確認してください。

専門家の助言やアドバイスの重要性

専門家の助言、アドバイスは適切なビジネスを行うのにとても重要です。もし、わからない事があれば専門家に相談をしてみましょう。

税務アドバイザーの利用

適切な税金の申告や節税の方法を学び、将来のリスクやトラブルを避けるために専門家のサポートを受けることが重要です。副業を始める際には、税務アドバイザーや会計士の助言を受けることが有益です。

法律家や専門家のコンサルテーション

副業に関連する法的な問題や契約、知的財産権などの事項については、法律家や専門家との相談が重要です。専門知識を持つ専門家の助言を受けることで、法的なトラブルやリスクを最小限に抑えることができます。

開業届を出す前に知っておくべきこととして、副業と本業の税金や法的な関係性についての注意点、専門家の助言やアドバイスの重要性を取り上げることが有益です。

これらの情報を把握することで、副業を始める際のリスク管理や適切なビジネス運営が可能になります。

開業届の基礎知識:まとめ

開業届は、副業や事業を始める際には避けて通れない重要な手続きです。

正確に記入し、必要な手続きを適切に行うことで、ビジネスの合法的な運営と法的な要件の遵守を確保することができます。

開業届に関する基礎知識を理解し、適切に手続きを行いましょう。

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